鈴木宏一 弁護士
みやぎ原発損害賠償弁護団 団長
宮城県仙台市生まれ
東北大学法学部 卒業
昭和50年仙台弁護士会登録
平成12年度 仙台弁護士会 会長
平成13年度 日本弁護士連合会 副会長
平成17年4月~平成23年3月
(財)交通事故紛争処理センター仙台支部長
平成20年3月~平成23年10月
法テラス宮城所長
ごあいさつ
1 弁護団設立の経緯
平成23年3月11日発生した東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故は、発生から2年10ヶ月を経過いたしましたが、未だに汚染水が海に流れ込むなど、事故は全く収束しておりません。また福島県内外の放射能汚染地域は、未だに高線量が続いております。
避難指示区域は、平成25年8月までに見直し・区域再編が実施されましたが、大熊町、双葉町、浪江町、富岡町、飯舘村は、ほとんどが帰還困難区域、居住制限区域となっており、約5万人の方々がその対象となっております。
この福島第一原発事故により福島県内、外に避難された方は約16万人おられますが、宮城県には約3500人の方が避難しておられます。これらの方々は、未だに帰還できず宮城県内において困難な避難生活を続けておられます。
当弁護団は、平成24年3月、これら福島県内から宮城県内に避難してこられた方々の東京電力に対する損害賠償請求を支援する目的で仙台弁護士会の有志(現在30名)により結成された弁護団です。また、宮城県内の事業主の方々の間接損害、風評被害など営業損害の賠償請求の支援をも活動目的としております。
2 当弁護団のこれまでの活動内容(斡旋和解)
当弁護団は、これまで主に原子力損害賠償紛争解決センター(以下「解決センター」といいます)における斡旋和解により賠償請求を解決して参りました。
解決センターにおける解決は、当初よりかなり運用も改善されてきておりますが、その限界も明らかになって参りました。避難関連費用、就労不能損害、財物損害(家財、不動産)等については、指針の見直し、取り扱いの改善などにより解決センターでの一定の解決が可能となっております。
しかし、慰謝料については、一人月10万円という、避難生活(日常生活阻害)に対する慰謝料の大幅な上積み増額は、解決センターではほとんど困難な状態になっております。また家庭、学校、職場、地域社会など生活基盤の全てを奪われ、自分の歴史と共にあったふるさとを喪失したことに対する慰謝料請求を、解決センターに求めることは不可能な状況です。
3 当弁護団の今後の活動(訴訟)
このように避難者の方々が失った一番大切なものに関する慰謝料請求は、訴訟で解決しなければならない状況になっております。
当弁護団は、現在、東京電力および国を被告とし、ふるさと喪失慰謝料等を請求する訴訟の準備を進めております。提訴は平成26年3月初旬を予定しておりますが、原告となられる方は現在22世帯58人となっております。
同様の訴訟は、既に全国各地15の弁護団により提起されております。
当弁護団は、これら全国の弁護団と連携しながら、原告の方々と共に原発事故被害の完全救済に向けて最後まで活動を続けていく決意でおります。
皆様のご支援、ご協力を心からお願い申し上げてご挨拶といたします。